ダリへの道も一歩から

天才と言われている絵画の巨匠は本当に天才なのか?努力によって才能を開花させることはできるのか。

油絵ってどんなもの?どんな絵を描けばいいのか。受験生は悩む。

 油絵を勉強している我が娘。

二人の時にはできるだけ絵の話を聞くようにしている。

そうでないと、素人にはさっぱりわからない世界に娘が行ってしまうような気がするのだ。

予備校生活が始まり、久しぶりに油絵を描いてきた娘。

納得できない仕上がりなのか?どんな油絵を描いたらいいのか、いつも悩んでいるという。

「今の油絵の主流って、抽象画だと思うの。抽象画って、余分なものをそぎ落として、見せるように削って作っていくんだと思うの。

画面に余分なものがあるとそれがうるさくて本当に伝えたいものが伝わらなくなっちゃうから。ただ本当に伝えたいものを伝えるために『これは絶対に必要』っていうものがあって、それだけを残した状態なのが抽象画なんだと思う。

ただ、そうしてできた作品ってデザインとの境界線があいまいになってくるんだけど、その作家がやってきたことを順を追って見ていくと、その作品がデザインじゃなくて『絵画』だということがわかるの。

プラス、今抽象画の巨匠として評価されている人って、その時に初めてやったから評価されているのであって、今誰かが同じようなことをやっても評価されない。既にやられていることだからね。」

という娘。

既に誰かがやったことをやっても、それはただのまねっこになってしまい、美術界ではまねっこは評価されない。

「まねっこは美術界では許されないから。それはあなたの発想じゃないって言われちゃう。」

油絵は、新しい描き方が評価される面がある。

それは受験絵画でも同じだ。

今までの誰かと同じような絵を描く場合、様々な点において他の誰よりも上手く描けなければならない。

絵を描くことを仕事にしようと考えている娘にとっては、自分がどんな絵を描いていくかはいつも大事なポイントになっていく。

目に映るものを映ったように描いていく『具象』の世界には、未来がないと娘は言う。

「だってもう、具象をやったところで、昔と違って絵で情報を伝える必要はないわけでしょ。今はカメラがあるから」

写真家が撮る芸術作品としての写真ではなくって、現実を写し取る『記録』としての写真ってことだよね?と聞くと、その両方とも写真家がすることだから、絵を描いて表現することではないと娘は言う。

社会のある部分を切り取って、『こういう見方をすれば、これは美しいものだ』ということを伝えるのは、もう画家の仕事ではなくて写真家の仕事なのだそうだ。

写真家の入江泰吉先生とか、他の人が思ってもみなかったことを切り取って、それが美しいものだと映し出して見せた。具体的に描こうとするなら、やっていることは写真家とかぶってしまう。

「だって、これ見て」

と目の前に手を出す。

「これをどんなに一生懸命見たってさ。どうしたって三色で出来上がってなんかいないじゃない。

テレビとかパソコンとか、これを三色で表現してるでしょ。

三色で人の目を誤魔化してるんだよ。

ホントはもっと綺麗なのに、これはこういう色ですってごまかして見せているようなものでしょ。

目を通して脳の中におとしいれて、実物みたいに見えているように処理できるっていうことは、目とか脳とかすごく高性能なんだよね。

でも、解像度がいくら高くなったとはいえ、実物を見たほうがずっとキレイなものってたくさんある。

たとえばアクア(うちにいるワカケホンセイインコである)とか、写真に撮ったら体全体ただの水色に見えちゃうけど、実際はそんなことなくって、よく観察すれば体の場所によって色が違うし、角度によって同じ羽根が違う色に見えるし、羽根の一本一本は、微妙に色が違うでしょ。

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アクア ワカケホンセイインコ

でも、カメラだとそれはまだ撮れないんだよね。テレビがどんどん性能が上がって、どんなに解像度が上がったって、人間の目の方がずっといいの。それだけ、人間の目の処理能力は高いの。」

そこまで言うと、あきらめたように娘は続ける。

「だから、それをすごく追及して描くのなら具象を描いても評価されるかもしれないけど、そこまで出来ないんだったら、写真の方がいいよね。ずっと。

これからの絵画はサ、ある程度の一般の人にも見て『スゴイナ』って思われるようにしないといけないんだと思うの。

今油絵で主流なのは抽象画だけど、今の抽象画って、美術業界の中で美術関係のエライ人が『この絵はすごいです』って言って、それが美術に関係のない人までいきわたっていて、そっか、この絵はすごいんだなって思われてる。何がスゴイのか、どうすごいのかも分からないけど、とりあえずエライ人が言ってるから、すごいんだろうってなってるでしょ。それじゃぁダメなんじゃないかな。

たとえばクレーの『忘れっぽい天使』とかさ、

美術関係者からみれば、あんなにデッサンができる人が自分の画風を壊して描いている時点で尊敬するし、スゴイって思えるけど、一般の人からみたら、子供が描いた絵とあまり区別つかないでしょ。」

今の油絵は『新しい何かを探している』というのは、素人の私にはさっぱりわからないが、娘が絵について色々と考えているだろうことはわかる。

悩みながら一枚一枚、絵を描いているんだね。

それが実を結ぶことを願う。

 

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